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 2024年5月 4日(土) 10:38 JST

学校は個人情報保護法対象外?

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以前卒業生の進路先情報などを在校生に見せてはならない というのは間違いでしょうか?で書いた内容について、執筆者の牧野二郎氏から回答を頂いていたので、くろねこの意見をまとめておきたいと思います。
全然まとまらないのですが...

牧野二郎氏のご回答を拝見すると、相違点は以下の点であると考えます。

  1. コミュニティの考え方
  2. そして個人情報保護法で守るべきなのか、プライバシーを守る権利(憲法第13条)で守るべき問題なのか
  3. 学校は事業者であるか否か

コミュニティについて調べてみました。
大辞林 第二版 (三省堂)によるとコミュニティの意味は、以下のように示されていました。

コミュニティー [community]

(1)人々が共同体意識を持って共同生活を営む一定の地域、およびその人々の集団。地域社会。共同体。

(2)アメリカの社会学者マッキーバー(R. M. MacIver)が定式化した社会類型の一。血縁・地縁など自然的結合により共同生活を営む社会集団。

→アソシエーション

今回は(1)に該当すると考えられますが、共同体意識、共同生活とは何かが問題になると思います。
私の意見としては、学校全体として共同体意識が存在するのかが疑問です。
「社会の一単位としてそこに集合しているわけで、互いに刺激し、働きかけあい、影響しあう以上はそれを社会、コミュニティというほかないのでは、と思うのです。」
とお答えいただいていますが、共同体意識としては、クラスかせいぜい学年が精一杯ではないでしょうか?
学校全体の共同体意識ができていると言うには難しいと思います。学校全体での行事などは存在しますがそのとき限りですし、普段発生する学年を越えてのコミュニケーションとしては、小学生であれば集団登下校位ではないのでしょうか?学校内でのコミュニケーションとして適切なのはクラス内の仲間、クラス、学年でしょう。
特に義務教育課程においては居住地域に束縛されている面がおおく、特定の学校に強制収容されているという現実があります。
そのような理由から、学校の方針に反対だからといってその学校を変えると行った選択肢が非常に難しいのが現状です。
また、ある特定の場所に集まった人間をの集団をコミュニティと称するのであれば、たとえば人材紹介会社やハローワークに登録した人間は皆コミュニティの一員です。
ハローワークに登録したら、個人情報がハローワーク内に掲示されていれば問題ではなりませんか?
私は同じ価値・目的を共有する人間の集団をコミュニティと呼びたいと思います。

個人情報保護法で守るべきか憲法で守るべきかという問題についてですが、個人情報というのはプライバシーの一つであり今回の個人情報保護法は、企業に提供されたそのプライバシーの一部の管理について制度化したものであると考えたいのですが違うのでしょうか?もし違うのであればプライバシーを守る法律を早急に検討すべきであると思いますが、その件についてはここで議論すべき問題ではないので触れません。

学校も非営利ではありますが事業を行っている法人であると考えています。たとえば私学には○○学校法人というのがあります。不特定多数かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする活動も行っています。
さらに学校ですと政令507号 第2条 に示される5年間で個人の数5000人を越えることもあります。5000人には、学生・保護者・教員も?などが含まれると考えられますので、単純に年間500人の学生を受け入れると越える計算になります。
500×2(学生+保護者)*5(年間)= 5000
それでも学校は個人情報保護法の対象外事業者なのでしょうか?
学校は管理する側(事業者)と管理される側(消費者)が明確に分かれている事業であり、コミュニティの様な選出されたメンバがコミュニティ内のルールに基づいて管理しているのではありません。たとえるなら国と国民の関係に近いのかもしれません。

このような理由から、学校は個人情報を守らなければならず、むやみに個人情報を学内掲示できないと考えるべきでしょう。

追記:学校にあっても利用目的を具体的に明示して、情報の収集をしなければならない

と言う、エントリが投稿されています。学校側の利用目的として「教育のため」でいいというのは賛成です。
いちいち、クラス名簿作成のためとかそのたびに利用目的を限定して収集されると、情報提供する方にも負担となるでしょう。

小学生の頃、「昨日何食べた?」という(家庭科の授業だったかな?)と言うのがありましたが、これを個人情報として利用目的を示さないといけないとすると、授業の最初に「栄養学の理解のため」と言わないといけなくなるのでしょうか?
なれればふつうなのかもしれませんが、現状からすると違和感たっぷりですね。
まあこの程度ならいいのですが、進級する毎に「クラス名簿を作る」と言う利用目的で、住所・氏名・年齢・連絡先電話番号などを記入するように求められたら、子だくさんの親御さんは困ってしまうでしょう。

しかし、教育のためでも利用目的を明記しなければならないケースもあると考えています。
一例として生徒の家庭の世帯収入を調べるとか、生徒以外の家族の個人的情報を収集する場合などです。このような場合には利用目的が明らかにされるべきだと考えています。

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